おまけ編 氷の芸術!三滝
週刊上田を見る
西沢とスノーボードに行こうという話になっていた。電話をすると、「週刊上田見た?」との話。週刊上田とは、毎週一回、新聞の折り込みチラシとともに入ってくるローカルなミニ新聞(?)である。今回の週刊上田の表紙には滝が凍り付き、柱のようになっている写真があった。写真の片隅には「北相木村」で撮影されたとのコメントが載っている。西沢に聞くと、だいたいの場所はわかるらしい。本当に行けるのか疑念を抱きつつもその氷柱にひかれ、スノーボードをやめて見に行くことにした。
朝10時すぎ、西沢の家の近くで落ち合い、雪のまだ残る道を北相木村へと走る。小海からは人家もまばらになり雪も深さを増す。このあたりは奇岩が多いらしく、ところどころにぽっかりと穴をあけた洞窟らしきものが見える。谷間を進んでいくと、やがて三滝への入り口にたどりついた。そこからの道は除雪がしてあるものの道はツルツル。道幅もせまく、対向車が来たらどこへよけんねん!と叫びたくもなる細いくねくね道であった。右へ左へスリップしながら山道を登っていくとやがて目の前が開け、広い駐車場にたどり着いた。こんなところに来る人がいるものかとたかをくくっていたらとあるテレビ局の車やその他数人人がいた。やはり隠れた穴場なのかもしれない。はやる気持ちをおさえて車をゆっくりと降りる。気温はそれほど低くない。実はどんなところに行くかわからなかったので長靴にスキーウェアという雪中行軍スタイルを準備していたのだが、目の前の滝へ通じる遊歩道はどう見てもふつうの観光客が歩いていける様子だったので、「そんなたいそうな物もってないかんねー」と周りに(だれもいないのに)虚勢を張りつつそそくさと準備をすませた。
除雪されているとはいえ、遊歩道は凍り付き、つるつるすべる。気を抜くと頭からガツンといきそうである。こんなところで一層アホになってはたまらないので、自然と歩く足に力が入る。いったいどこまであるくのか・・・と行く先を見やると向こうに青白く静かに光る柱が見える。駐車場から5分くらいの距離であった。雪深い中を1時間以上も歩く覚悟はいったいなんだったのか?あまりにも簡単に行けてしまった。
滝はざっと10mほどの落差で、氷柱は8mちょっとといったところだった。(ちゃんと測ったわけでないのでひょっとするともっと低いのかもしれないが・・・)。滝の上からは絶えず水がちょろちょろと流れ落ち、氷柱に吸収されていく。あと少しで一番上まで柱がくっつきそうだ。柱は驚くほど透き通って青く、さながら氷のシャンデリアである。柱と言っておきながらシャンデリアというのも矛盾した話だが、とにかくそういいたくなるくらい美しいのだ。氷の太さは大人3人が両手を広げてやっと届くくらいか?自然というのはどうしてこうも見事に美しい物を造形してしまうのかとココロは万物の創世にまではてしなく広がり、しばしボー然と我を忘れてしまったのであった。いろいろな角度から写真をとっていると、ふと岩のくぼみにムーミンにでてくるニョロニョロのようなものをみつけた。水滴が小さな柱となってかたまっていたのである。それらはやわらかい土の中にやさしくうずくまり、一つを手に取ってみるとまるで松茸をとっているかのような感覚だった。
滝で30分は費やしたであろうか、気がつけばかなり長い時間そこにいた。もう一つ滝があるらしいのでそれを見に行くが、その滝にくらべたらたいしたことはない。実は「三滝」というからには滝が三つあるらしいのだ。もう一つは雪深くてどこにあるのか気づかなかった。しかし思いがけない美しい滝に出会えたことでココロは満足し、そのあと温泉に入って家に帰ったのだが、たいそう充実した一日を過ごすことができたのでした。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |